I Love, I Love, I Love You

イギリス人俳優マシュー・マクファディン(Matthew Macfadyen)を中心に。
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『シェイクスピア21 マクベス』

『シェイクスピア21 マクベス』
("Shakespear Re-Told: Macbeth")は、2005年にBBCで放送されたTVシリーズ。
『じゃじゃ馬ならし』『から騒ぎ』『真夏の夜の夢』と共に
シェイクスピアの4作品をモチーフに舞台を現代に作られた。
『マクベス』は現代のレストランが舞台になっている。

原作:ウィリアム・シェイクスピア
翻案:ピーター・モファット
出演:ジェームズ・マカヴォイ(ジョー・マクベス)
   キーリー・ホウズ(エラ・マクベス)
   ジョセフ・ミルソン(ビリー・バンクォー)他

あらすじ

アイルランド出身のシェフ、
ダンカン・ドカティー(ヴィンセント・リーガン)は
テレビ番組のコーナーを持つほどの人気だが、
彼は自身の店にはほとんど顔を見せず、
実際はジョー・マクベス(ジェームズ・マカヴォイ)が
厨房の指揮を執り、接客は彼の妻、
エラ(キーリー・ホウズ)が取り仕切っていた。

仕事が終わり、いつものように同僚で親友の
ビリー・バンクォー(ジョセフ・ミルソン)と飲みに出かけ、
食材や料理の話で盛り上がった後にレストランに帰る途中
二人の前に3人のゴミ収集員が現れ、不思議言葉を残し去っていく。
「ジョー・マクベス…輝く星はお前の上に…」
「ビリーはジョーより不幸だが、幸せだ、
何も手にしないが息子が手に入れるから」…。

何のことだ、と顔を見合わせる二人。

レストランに帰ると、そこにはエラ、ダンカン、
ウェイターのピーター・マクダフ(リチャード・アーミティッジ)、
ダンカンの息子のマルカム(トビー・ケベル)がいて、
ダンカンはジョーとビリーにレストランがミシュランの三つ星に輝いたことを伝える。

自分たちの力で手に入れたようなものだ、
もちろんこの店を継ぐのは自分だ、と、確認し合うように
ジョーはエラと視線を合わるが、ダンカンはいずれマルカムに店を継がせると言う。
そして、マルカムはまだ修業を始めたばかりだから、
自分がすぐに死ぬようなことでもあれば、
継ぐのはジョーである、という冗談を言うのだった…。
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ルーファス・シーウェルが『じゃじゃ馬ならし』のペトルーキオを演じていたので
彼のファンになってからこのシリーズを知ったのですが、
シリーズ中、この『マクベス』と『じゃじゃ馬ならし』の評判が良いようでした。
面白いみたいだし、ジェームズ・マカヴォイも
ちょっと気になる俳優さんだし…と観たのが最初。

「面白いけど…なんか…悲劇だから当たり前なんだけど…
観ていて気分のいいものではないし…もう見ないかも…とりあえず嫁怖い…」
というのが当初の感想。

もちろんマカヴォイのマクベスもすごく良くて、
なんですかこのマクベスとバンクォーのあの、その…。とか…(笑)
この辺の感想はあとで書きますが…。

その後、エラ役がマシュー・マクファディン嫁ことキーリー・ホウズだったことを知り、
もう一回見ようかな、と思ったものの、しばらく見ていなかったのですが
「ホビット : 思いがけない冒険」でトーリンにどっぷりハマり、
トーリン役のリチャード・アーミティッジさんも出てたか!
しかも「戦火の馬」映画版に出てたトビー・ケベルさんがあのバンダナ息子君役?!
と、思って観たのが2、3回目。

その時は「うふふ、こんなウェイターのいるお店行ってみたい、
それにしてもマクダフかわいそ…ていうか、なんかみんなかわいそ…」という感じ。

そして、2013年8月。
グローブ座で『マクベス』を見てマクベス役のジョセフ・ミルソンさんにすっかり魅了され…
「ん?でもどっかで見たことある…ん…?もしかして、
あのレストランマクベスのバンクォーって…」
と帰国後調べてみると「あああああ!やっぱり……!!!!」ということで
早速観てみることにしたのでした。
と、いうわけで、かなりバンクォー比率高めの感想になります(笑)

感想ここから
まず、三人の魔女が三人のおっさん(ごみ収集員)になってるのが面白い。
そしてこの人たちがいちいちチャントのような感じで
歌を歌いながら去っていくのが癖になります、耳に残る~(笑)

舞台をレストラン、マクベスをシェフにすることによって、
「死」の暗喩のちりばめ方も自然になり、
そのあたりも上手いな~と。

そして主役、マカヴォイ演じるジョー・マクベス。
いきなり脱いでてファンサービスですかね(笑)
と、ジョセフさんバンクォー(以下ビリー)初登場のシーンが
いきなりマカヴォイマクベス(以下ジョー)に唇を奪われるあれ!(笑)
しかし、この時のビリーのセリフ、"Mad boy...!"が後で効いてくるわけです…。

私は、マクベスはこれの他では2013年のグローブ座公演を見たのと
日本語版スクリプトを読んだだけなのですが、
このアダプテーションではジョーとビリー、
つまり、マクベスとバンクォーの関係にとても重きを置いていて、
二人の関係がかなり親密なものになっていると思います。

別にジョーがビリーにキスしているから、といって
それは同性愛的なものではなく、やんちゃな男の子同士のジョークであり、
とても仲の良い、親友同士、という描かれ方。
(いわゆるブロマンス、というやつかな?)

だからこそ、ジョーがビリーを殺させるということが、
どれだけジョーが正常ではなくなっているか、
となり、この物語の悲劇性を更に強いものにしている、と。

マクベス夫妻は子供を失っていて、
ビリーのところには複数の男の子、しかも新しくまた増える、
というところもいろいろある、というか、
"We're having another baby"の告白から、
"father and son..."のビリーのセリフで
ジョーの気持ちは固まるんだろうな、というのが
ジョーの表情からよく伝わってきます。

ちなみに、ビリーがここで、みんな男だからまた男の子が良い、
というのが好き。ふつうなら今度こそ女、とか言いそうだけど…。

このアダプテーションではダンカン殺害までと、
ビリー殺害までに結構時間を割いているので
マクダフ(ピーター)の影が少し薄くなっているかな、という気もします。

でも、これでマクダフの出番を長くしてしまうと
テンポも良くなくなるし、せっかくジョーとビリーに焦点を当てた意味も
薄くなってしまう気がするのでこれはこれで良かったかなと。

アーミティッジさんの目力で時間は短くとも存在感はありますし!
(そして小柄なジョーに吹っ飛ばされるシーンでは
なんとなくトーリンを彷彿とさせるというか「あ、やっぱり弱い…」
となってしまいました・笑)

ピーターと対峙しているジョーの、あのマカヴォイ氏の演技は圧巻です!
あのあたりを見てぜひトラファルガー・スタジオでの彼のマクベス観てみたいな、
と思ったのですけど、結局機会には恵まれず…(多分今なら行ってる)

で、エラですが、一緒に見ていた家族に
「ジョーがおかしくなるのはわかるんだけど、彼女がおかしくなるのが良くわからない」
と言われ…確かにそうかも…と。
グローブ座公演では、わりと夫人が狂っていくのがわりとストンと来たのですが…。

私の解釈としては、子供を失った時からもうどこか壊れていて、
それを何とかレストランを夫婦で「支配する」日が来るのを支えに
やってきたんだけど…という感じかな、と思っています。

ちなみに、エラを演じたキーリー・ホウズ。
この話が来た時に彼女の旦那さんにその話をしたら、
ジュディ・デンチさんがマクベス夫人を演じた
「マクベス」のDVDを買ってくれたんだとか。
もちろん夫とはマシュー・マクファディン。
きっと演劇学校出ではない奥さんがシェイクスピアの仕事をするのが
すごくうれしかったんじゃないかな、とか
勝手過ぎる妄想をしてしまいました…。

ところで、原作では帝王切開で生まれたからマクダフがマクベスを
倒すことができた、ということになっているようですが、
ピーターは特に帝王切開で生まれたとかそういう設定はなく、その代わりに
ジョーとエラの子供が帝王切開で…というエピソードがあったのかな、と。
おそらく、他にも色々マクベスに関連する小ネタがちりばめられているんでしょうが…
全然知らないので何とも…。

小ネタ、と言えばゴードン・ラムジーのことを
厨房内では"The Scottish chef"と呼べ、というアレ。
演劇界では楽屋などで「マクベス」と口にするのは不吉なので
"The Scottish play"という、
ということから来ているんでしょうね。

ちなみにこのことをマルカムに教えるのはビリーですが、
ビリーを演じたジョセフさんは、後年自身がマクベスを演じた
グローブ座公演に関するインタビューで
自分たちはそんな言葉は使っていないと言っていました。
そんな迷信、全く下らない、と。

「この迷信についていろいろ説があるけど、お気に入りのは
ドキュメンタリー番組でのドナルド・シンデンの経済学に基づいた説。」
…とのことですが、読んでもよく意味が分かりませんでした…。
Wikipediaのこのあたりも読んだんですが、英語ができなさすぎて…。
どなたか、解説をお願い致します…!(こらこら)

ちなみにビリーは良い役だし印象的だし、
今見るともうジョセフさんビリーにばかり目が行くのですが、
グローブ座のマクベスを見るまではジョセフさんのこと、
あまり詳しく調べようというところまで至っておりませんで…
…多分imdbのジョセフさんの画像があまり彼っぽくないのと、
他の映像出演作が微妙だったので…
あんなに舞台で活躍しているとは知らなかったのですよ…。
むしろマカヴォイ好きで一緒に見ていた家族の方が
「この友達やってる人、出演者で一番イケメンだわ~」とか言っておりました(汗)
君の言っていることは正しかった…うん…。

まあ、実をいうと一番外見が好きなのはダンカンなんですけど…。
そういえば、ダンカンはじめ厨房のメンバーは
アイルランド人、とかって設定みたいですが、
どうしてスコットランド人じゃないのか謎に思っています…。

DVDは日本版は出ていないので、英国版を買ったのですけど、
それに入ってるフォトギャラリーの一枚が笑い合っている
ジョーとビリーとマルカムで…なんか見ていて切なくなる…。
こちらの画像ですね)

このお話、あまり非がないのに殺されてしまう
ダンカン(いくらなんでも殺されるほどじゃないよね)はじめ、
父を殺されたマルカム、濡れ衣を着せられる
セルビア人たち(原典ではマクベスに殺される)、
親友に殺されるビリー、幼くして父を失うビリーの息子、
何も関係ないのに殺されるピーターの家族、
そしてピーター、とかわいそうな人だらけなわけですが、
一番かわいそうなのはやっぱりジョニーだと思う…。
マクベス夫妻はもう死んじゃっているから罪に問われることはないけど…
これからの彼を思うとな…。

これから、と言えば、ピーターだって現代だから確実に刑務所行きだろうし、
ビリーの家族だって、子だくさんで未亡人は妊娠中、
と考えると相当大変だろうな…とか…
(まあ、英国はシングルマザーには色々補助があると聞きますけど…)

だからこそ、最初観たとき「もう…観ないかな…」と思ったんだと思います…。

ちなみにBBCの公式ページが今も読めます。
昔なので、動画や凝ったものはないですが、
例の人気メニュー?のレシピやダンカンの経歴など内容は面白いです!

先ほどのキーリーのインタビューもこちらから拾いました。
他にもマシューに言及していたりも…。

ジョセフさんの紹介もあり。
…下の方は今と状況が違う、とだけ…(汗)

…全然関係ないですけど、
この作品のマクベスのファーストネームがジョーで、バンクォーがビリー。
2013年のグローブ座公演で
マクベスを演じたのがジョセフ・ミルソン(愛称ジョー)さんで、
バンクォーを演じたのがビリー・ボイドさん…とか、
自分しか楽しくないネタでニヤニヤしていたりとかします…(笑)

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